1日午後に民主派団体が行った市民デモの参加者が53万人(主催者発表)と1年前を上回る規模になったことが、政界を揺るがしている。董建華行政長官は民主派立法会議員の要求に応じ、今週中にこれら議員と会見することを約束。デモの結果からみて、9月12日に投開票が行われる立法会議員選挙で民主派はさらに有利になったとの観測も強まった。
(NNA 香港 2004/07/05)
董建華行政長官は1日夜に緊急記者会見を行い、「市民の訴えはこの耳で受け止めた」とコメント。その一方で「(2007年の行政長官公選制導入と08年立法会選挙での全議席直接選挙化を封じ込めた)全国人民代表大会(全人代)常務委員会の決定に沿って政治体制を発展させる」と述べた。
50万人が参加した昨年7月1日の国家安全条例反対デモでは、当日は董長官の会見はなく、政府スポークスマンの声明だけだった。
デモが成功裏に終わったことを受け、民主派に属する立法会議員22人は2日、董長官に対し、9日に会見するよう要求する書簡を連名で送付。行政長官室は当日、時期は後日決定するとした上で、董長官が民主派議員との会見に応じる方針であることを表明した。
民主党の楊森党首は董長官との会見で、全人代常務委が却下した行政長官公選と立法会の完全直接選挙化を再度、実施の方向で求める報告書を中国中央政府に提出するよう要求するとしている。
デモを受けた直接選挙拡大要求は2日の立法会内務委員会でも取り上げられたが、政治改革特別検討部会の部会長を務める曽蔭権(ドナルド・ツァン)政務長官は、民主派の要求に否定的な姿勢を終始、崩さなかった。
曽長官は「全人代常務委が07年の行政長官公選と08年の立法会完全直接選挙化を否決したことは非常に重い決定」として、これは動かすわけにはいかないと強調。全人代常務委が認めた範囲で、よりよい政治制度を模索するべく議員と意見交換したいと述べるにとどまった。
■中央政府も「原則は譲らぬ」
中央政府はデモについて、「全否定」こそ避けたものの、直接選挙拡大要求には応じられないとの姿勢を貫いている。
中央政府連絡弁公室(連絡事務所、以下「中連弁」と略)は2日未明の声明で「デモを組織したグループの一部が掲げたスローガンやシュプレヒコールは不適当であり、安定や発展、調和ある社会を求める香港市民の一般的な願いに合わない」と、一部のデモ参加者が掲げた「政治を市民に返せ(還政於民)」などのスローガンを事実上批判。
3日には中連弁の李剛副主任が、「全人代常務委の決定は最終決定であり、変更はできない」と強調し、見直しを求めることは賢明ではないと民主派を批判した。デモ主催者の中心となった民間人権戦線は中連弁の姿勢に「デモに参加した市民を侮辱するもの」と猛反発している。
■若者増、データでも裏付け
今年の7・1デモでは若者が多く見受けられたが、それは香港中文大学新聞コミュニケーション学部の陳韜文教授と香港大学の鍾庭耀(ロバート・チュン)民意研究計画主任が共同で参加者610人を対象に行った調査でも裏付けられた。
回答者のうち、15〜39歳の人は全体の54%。学歴は大卒以上が58%を占めた。また回答者の97%は選挙権がある18歳以上だったが、91%が有権者登録をしていた。
高級経済紙の信報は2日付の社説で、デモは民主主義を求める市民の声の強さを示したとし、9月の立法会選で民主派と同派寄りの中間派が勝つ可能性が強まったと分析。立法会選で民主派が勝てば、もともと支持率が低い董建華政権はレイムダック化すると予想した。
(NNA)なかなかどうして香港人も「勇敢」じゃないかと思わせる1日だった。7月1日午後、気温35度を超す炎天下の中、主催者発表で53万人を集めたデモの参加者に話しかけると、さまざまな立場の老若男女が一様に全面的な直接選挙の導入を訴えていた。
エンジニアの男性は「直接選挙がないからこそ、民意にそわない行政長官が生まれる。政治の中国化を避けなければ」と訴えていた。コーズウェーベイ周辺では通路規制が小さな路地にまで及び、「目の前にあるオフィスにさえ入れない」と怒った市民が警官ともみ合う場面もあった。
親中派の新聞はデモを無視するか、異常だと書き立てるかのどちらかだったのも興味深い。市民の怒りが表明される社会の健全さを、改めて痛感している。(天)
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