(NNA 2004年07月26日 中国)
GDP伸び率、全国が最低!踊る統計数値[経済]

今年上半期(1〜6月)の全国と地方の国内総生産(GDP)の発表がほぼ出そろったが、地方のGDPと比較すると、全国の伸び率である9.7%が最も低いことが明らかとなった。中央と地方の伸び率の差は年々拡大していることも判明しており、急速に発展しているとされる地方経済が“虚像”である可能性も出てきた。

地方政府の統計部門が意図的に数値を操作していることを示すもので、今後、中国の経済指標に対する信憑性が問われることは間違いなさそうだ。【上海・江上志朗】

26日付の中国紙「21世紀経済報道」によると、チベット自治区を除く全国30省・自治区・直轄市で上半期のGDPの伸びが最も高かったのは内モンゴル自治区の18.7%。最も低かったのは海南省の10.3%となり、地方の最低の伸び率が全国(9.7%)を上回った。

地方の数値を単純に平均すると、地方の伸びは12.7%となり、全国平均との差は3ポイントのひらきがあることになる。

中国社会科学科学院数量経済・技術研究所の研究員は地方の統計を「(重複計算などがあり)集計が雑で、科学的なものではない」と切り捨て、各地方が実態よりも数値を高く発表していると指摘している。

また、国家統計局国民経済核算司の職員は「全国のGDPは地方の数値とは直接関係がなく、国家統計局が独自に集計している」と説明。

全国の数値が地方政府の統計局データの積み重ねで出されたものでない


ことを明らかにしている。

■地方との“格差”拡大へ
地方のGDPの伸び率と全国の伸び率との差は年々拡大傾向にあることも分かっている。1999年から今年上半期の数値で見ると、全国と上海市の差は99年の3.1ポイントから今年上半期には5.1ポイントにまで拡大。99年には四川省が全国平均を下回った以外は、いずれも全国の伸び率を上回っていることも分かっている。

格差が拡大している背景について、国家統計局関係者は地方政府の「発展計画にある」と指摘。地方政府は次年度の経済発展を数値化し、達成目標としていることが、数値の「ゆがみ」を生んでいると解説している。すなわち、自分の地方の発展を中央政府よりも高く設定し、経済発展が速いことを中央政府にアピールするために、数値を「操作」しているというのだ。

■特別チームで監視を強化
ただ、こうした傾向が強まると、経済指標への信用が失墜し、中国のマクロ経済への疑問が高まるのは必至だ。このため。国家統計局は調査の独立性を重視。昨年末から3年計画で、各地方への調査に着手している。国家統計局の李徳水局長をトップとする特別調査チームを編成。各地方に入って、最近3年間の統計データを徹底的に調べ、「水増し」の有無を調べている。今年6月からは7省・自治区・直轄市への調査に入り、現在は上海、浙江、四川の3地方で調査が進められているという。

ただ、特別調査チームは20人と規模が小さく、全地方を回り、膨大な統計データを詳細に調べることには限界もあり、調査を通じて地方政府の統計方法が改まるかは未知数だ。

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