(NNA)2004年07月28日 中国

建設銀頭取に47歳のCITIC幹部起用[金融]

上海の日系金融筋によると、中国建設銀行は27日までに新行長(頭取)に中国中信集団公司(CITICグループ)の常振明・筆頭副総経理(47)を起用する人事を固めた。

年内の海外上場を目指す同銀行が中国最大の金融コングロマリットからトップを迎えることで、国際的評価を取り付ける狙いがあるものと見られる。常氏は日本語と英語に堪能で、30代で同集団の副総経理に就任した経歴を持つ実力派。今回のトップ人事は一銀行の人事にとどまらず、中国の金融改革全体にも影響を与えるものと言えそうだ。

■張氏は董事長へ

建設銀行は9月にも株式制に移行する予定で、現在の張恩照行長は、同行の董事長に就任する。株式制移行前に幹部人事が正式に発表される。

新行長に就任する常氏は1956年生まれ。北京第2外国語学院卒業で米ニューヨークでMBA(経営学修士)を取得しており、日本語、英語を流ちょうに話すことで知られている。これまでに中信証券有限責任公司董事長、中信控股有限責任公司総裁、中信信託投資有限責任公司董事長などを歴任。現在は中国中信集団ナンバー3の筆頭副総経理のほか、香港嘉華銀行副董事長などの要職を務めている。

■30代で副総経理に

39歳の若さで同集団の副総経理に抜擢されたことで知られ、次世代の中国金融業界を背負っていく逸材として期待されていた。最近では98年の収賄事件で多額の損失を出し、破産の危機に面した香港嘉華銀行を副董事長として建て直したことは特に有名。「合理的な考え方ができる企業家で、ハードネゴシエーター(交渉上手)との印象」(日系金融筋)との評価もあり、今回の建設銀行のトップ人事を好意的に見る人も多いようだ。

■「新しい息吹」に行員も期待

中国紙「経済観察報」最新号は、今回のトップ人事で最も驚いたのが建設銀行の行員たちだったと報じている。4大国有商業銀行の初めての海外上場となる同行のトップには、中国人民銀行(中央銀行)から「天下り」してくるものだと思っていたからだ。常氏のトップ就任の報を「圧倒的なグッドニュース」「新鮮味もあり、新しい息吹を建設銀行に入れてくれる」など歓迎と期待の声が早くも上がっているという。

■成功?失敗?注目の海外上場

建設銀行は4大国有商業銀行に先駆けて年内にも香港・米国で同時上場することが有力視されている。調達金額は100億米ドルに達する見込みで、今年の新規株式公開(IPO)では世界最大規模となるという。上場は多額の不良債権や金融システムの未整備といった問題を抱える国有商業銀行がマーケットにさらされることを意味しており、上場の成否は今後の中国の金融改革にも影響するのは必至だ。

建設銀行の上場を巡っては、米シティグループやドイツ銀行、モルガン・スタンレーなど世界の有力銀行が引受幹事を担当することを申し出ており、世界中から注目されているのは間違いない。

国務院(中央政府)はこうした事情を踏まえ、今年1月には、建設銀行と来年上場予定の中国銀行に450億米ドルの資本注入を決定。人民銀行も不良資産の肩代わりをするなどして、建設銀行の“健全化”を全面的に支援している。今回の常氏の人事もこうした流れの延長線上にあり、上場後の株価にも影響を与える要素といえそうだ。【上海・江上志朗】

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