2004/08/05 (産経新聞朝刊)
サッカー・アジア杯 ホスト国のもてなしどこへ行った…( 8/ 5)
スタジアムで国歌が聞こえない−。
日本代表の海外遠征には何度も同行したが、厳粛な時間をここまでかき乱された経験は初めてだ。
熱狂的サポーターを抱える韓国、イングランドでさえ国歌演奏の間は静寂が支配する。世界共通のマナーが中国には存在しなかった。(北京 榊輝朗)
オマーン、タイ、イラン、ヨルダン。重慶での四試合に、ホスト国の心は感じられなかった。日本の対戦国が好機を迎えると大歓声を上げる。関心はサッカーではなく、日本の敗戦としか思えない。尖閣諸島の領有権を主張する横断幕が掲げられ、公安職員が撤去する一幕も何度かあった。
ホスト国としての資格を疑わせる前兆は、七月十七日の開会式からあった。スタジアムでの運営面の落ち度などを批判するブーイングが絶えず、一向に静まらない客席に閉口したアジアサッカー連盟(AFC)のピーター・ベラパン事務局長が「マナーがひどい。五輪が開催できるのか」と批判すると、ファンだけでなく北京市や大会関係者からも発言撤回を求める声が沸き起こりベラパン氏は謝罪している。こんなホスト国は前代未聞だろう。
当局まで一緒になったことでファンの中のタガが外れたようだ。
(正に、夜郎自大=中華=世界の田舎もんっぷり発揮、ト)
北京五輪を控え、政府も、これではまずいと思ったようだ。中国共産党の青年向け機関紙が行き過ぎた行動を批判、引き締めにかかり、済南では多少は鎮まった。だが、中国との決戦を控え、地元ファンはホスト国として振る舞うだろうか。
四日付の中国共産党機関紙、人民日報は、日本代表について「日本もいいチーム」といった国民の声を紹介、中国各紙も日本の実力を「『二軍』で勝って決勝へ」(京華時報)などと評価する記事を掲載するなど、日本への配慮を見せた。だが同じメディアが二日、ジーコ監督にサッカーとは無関係の「領土問題」を質問し、場違いな取材で不興を買っている。
サッカーは見る者を興奮させる。試合中のブーイングや大歓声は世界共通だが、二年前のW杯の日本でも今年開催された欧州選手権の開催地ポルトガルでも、他の国のサポーターへの温かいもてなしがあり、いずれも各国メディアに評価された。
応援するサポーターに物を投げつけるファンのいる国が、同じ評価を得られるとは思えない。
中国のスポーツ紙記者は、「大きな大会の開催に慣れていないことも要因だ」と弁明した。だが、ホスト国の心構えは、難しいことではない。
「歴史的な問題はスポーツとは関係ない」「国歌が聞こえなくて歌えないのは不満だ」−。
日本代表のジーコ監督や選手たちの要望に耳を傾け、配慮すれば、いい。
決勝戦で、それができるか。
五輪開催国のホスピタリティーを測るリトマス試験紙になる。
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