空自全面協力、戦闘機飛びまくる「亡国のイージス」

海上自衛隊の護衛艦を舞台にテロリストと海自隊員らの戦いを描く海洋アクション大作「亡国のイージス」(阪本順治監督、来秋公開)が製作されることになり、このほど、青森・三沢基地で撮影が行われた。

空自の戦闘機が海自の護衛艦を撃沈しに向かうという映画ならではの架空の出動、飛行シーン。航空自衛隊が全面協力し、映画初登場となる最新鋭のF−2支援戦闘機などを実際に飛ばすなど、日本映画にいまだかつてなかった1シーンの実現をバックアップした。

〔写真右:パイロットに扮し、民間人では滅多に乗れないF−2の操縦席に座った真木蔵人。「飛行服が似合う」と隊員の間で評判だった。
同中:パイロット役の真木蔵人=左=に指示を与える阪本順二監督。
同下:三沢基地の空自隊員=左=から、パイロットのセリフについて細かいアドバイスをもらう阪本順二監督。
台本と実際は違う〕

訓練飛行や任務飛行に就くF−2支援戦闘機、F−4支援戦闘機が次々と離着陸し、轟音(ごうおん)が響く三沢基地。撮影現場には、“本物”にしか出せない迫力と緊迫感が漂った。

1機110億円というF−2の操縦席に乗り込んだ空自隊員役の真木蔵人(32)の表情を狙う阪本監督(45)の周囲を、いつもの映画スタッフのほか、同基地の飛行群、整備補給群、基地業務群などの空自隊員が囲む。撮影隊のさまざまな要求に応え、撮影が円滑に進むようサポートした。

同作は作家、福井晴敏さんの同名小説が原作。

生物化学兵器を持ちイージス艦を占拠したテロリストと戦う海自隊員ら2人の男を軸に政府や防衛庁、警察の息詰まる攻防が描かれる。劇中、生物化学兵器を封じ込める中和爆弾を搭載したF−2が、イージス艦の撃沈に向かうシーンがあり、製作側が空自に協力を要請した。

防衛庁航空幕僚監部広報室によると、映画の撮影には過去にも協力したことがあるが、「今回はよりリアリティーを出したいという製作サイドの意向に、現実に即した形で対応した」という。飛行シーン、パイロットのセリフ、交信内容などに現実感のある細かなアドバイスをしたほか、真木への飛行服など本物の装備を提供した。

極めつけは、今年3月に実戦配備されたばかりのF−2の飛行だ。2機のF−2を飛ばし、さらに、飛行シーンを撮影するカメラマンを乗せたT−4中等練習機が、高度1万3000フィートでの撮影を敢行。地上ではカメラが離着陸シーンを狙った。

教育訓練などに支障がない範囲での協力とはいえ、空自あげてのバックアップについて、空自関係者は「こうした協力が、国防の重要性を国民に知らせ、理解をしてもらういい機会になるのでは」と話した。

撮れたての映像を早速チェックした阪本監督は「ほぉーっ、という感じ」と類を見ない迫力の映像にわれながらほれぼれ。「贅沢なことをさせてもらった」と感謝しながら、「実際に働く隊員の姿を見たことが、これからの撮影にとって一番、良かった。普段、見られない自衛隊の部分を描くことで、協力していただいた隊員の方たちの期待に応えたい」と決意を新たにしていた。

★「亡国のイージス」

東京湾上のイージス艦「いそかぜ」が対日工作員、ホ・ヨンファ(中井貴一)に占拠された。ヨンファは持ち込んだ生物化学兵器の照準を東京に向け、テロ一味に加わったいそかぜの副長・宮津(寺尾聰)は日本政府にある要求をつきつける。慌てる政府を尻目に、防衛庁情報局局長の渥美(佐藤浩市)がいそかぜに送り込んだ工作員、如月行といそかぜの先任伍長・千石(真田広之)は、ヨンファらに戦いを仕掛けて…。

寺尾、中井、佐藤、真田という日本アカデミー賞最優秀主演男優賞受賞者の4人がそろった。イージス艦の実物大艦橋セットを建設するなど総製作費12億円をかける。

★三沢基地★

撮影に協力した三沢基地は、空自唯一の日米共同使用航空作戦基地で北部防衛の要衝。第3航空団をはじめ16個部隊が所在し、F−2・F−4支援戦闘機、T−4中等練習機、E−2C早期警戒機や米空軍のF−16戦闘機が常駐する。映画初登場となるF−2は日米共同で開発され、対艦攻撃、要撃戦闘、対地攻撃などに優れたオールマイティーの戦闘機。

★イージスとは「無敵の盾」

同作への全面協力を表明している海自は、実戦に近い訓練の密着撮影とイージス艦「きりしま」の艦上、艦内撮影などを許可。6、7月に実景など一部が撮影された。

イージス艦とは、数百キロメートルをカバーする最新鋭の高性能レーダーを搭載した護衛艦。攻撃より防衛を目的とし“専守防衛”の象徴といわれる。

現在は横須賀、舞鶴、佐世保に「こんごう」「きりしま」「みょうこう」「ちょうかい」の4隻を配備。「イージス」とはギリシャ神話に登場する「無敵の盾」の意味。

★カメラマンも訓練受けた

飛行する2機のF−2支援戦闘機を撮影したのは笠松則通カメラマン(47)。近藤昭尚三等空佐(38)が操縦するT−4に乗り込み、重力に耐えながら、約1時間、カメラを回した。7月に東京・立川の航空医学実験隊で低圧訓練を受け、1週間前には本番と同じ状況でテスト撮影を行った笠松カメラマンは、近藤三佐の「撮影がしやすいように急な動きがないようコントロールに注意した」との協力もあって一発OK。

真木扮する宗像一等空尉の吹き替えを務め、F−2の操縦桿(かん)を握った柴田雄介一等空尉(32)は「普段やっていることの一部なので、撮影とはいえ難しいことはなかったが、逆光にならないように、見栄えがいいように気を使った。完成した映画にどう映っているか楽しみ」と話していた。




(西村幸祐 酔夢ing voice)

クランクインした映画「亡国のイージス」は自衛隊の全面協力下で撮影が進んでいる。

野中広務幹事長の反対で「宣戦布告」という映画に自衛隊が全く協力できなかった時代も過ぎ去った。


なるほどねぇ。麻生幾の「宣戦布告」には、陸自が協力できなかったんだ。アパッチが出るだけだから、この際撮り直そうよ。

架空怪獣ゴジラなんてな「敵」への攻撃シーンで、結局「国防意識」はおちゃらけにされてきたんだもんな。

コメント

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

まだテーマがありません

最新のコメント

この日記について

日記内を検索