同じ現象は黒河、松江、牡丹江などと従来は水に恵まれ”穀物王国”といわれた東北地区(旧満州)にも顕著となった。野菜、小麦、大麦、トウモロコシの作付けに深刻な悪影響が出る。

穀物がまともに獲れないとなると食料計画、食料ビジネスにも悪影響が出る。しかも農薬を大量に使うため水の汚染はますます凄まじい事態となる。なにもがマイナスに転じると大きな国だけに制御する方法がない。

黄河上流の甘粛、寧夏、狭西あたりでは山林を伐採したため山々に保水力がなく、上流地域では洪水が起きやすい。かといって植林の習慣がなかった

これは狩猟牧畜民族の特徴で、かれらは植林をしないのだ。生えている草木はすべて食料、建材、燃料として使い果たす。なくなれば次の土地へ移動するまでである。

日本の洪水、河川の氾濫なども確かに災害ではあるが、中国の天災被害は桁違い、堤防が切れると何千何万もの住民を飲み込む。

冠水した土地を再び耕すのは容易ではなく、農業を捨てて農奴のごとくあちこちの農業地帯を流れ歩く季節労働者が群れをなしている。これは治安の悪化にも繋がる。北京、上海、広州、深センなどの治安の悪化、マフィアの猖獗をみよ。
 
山西省大同に植林事業で行っている日本人によれば、「下流の北京、天津の話ではありません。山西省の大同という水の豊かな場所でさえ、地下水も100メートル掘らないと出てこない。河北省の手前で水が枯れているのです」というのだ。 

世銀報告では「いまや北京周辺では地下水は1000メートル掘らなければいけない」とある。100メートルではない。1000メートル。つまり地下水はもうないのだ!しかも地下水の汚染が甚だしくなった
 

▲砂漠化の恐怖

第二の危機は果てしない「砂漠化」だ。
中国国家林業局荒漠化観測センターが日夜、砂塵を観測している。たとえば今年の3月26日から28日にかけて中国北部を襲った強風は各地に砂嵐被害をもたらした。甘粛省河西地区や内蒙古自治区中西部で凄まじい砂嵐が発生し、北京に砂嵐が押し寄せた。
 
華北平原は黄砂にすっぽりと覆われた。この砂嵐で影響を受けた面積は約120万平方キロメートル。じつに日本の面積の三倍強! 影響を受けた人は七千万人余。

中国国家環境保護総局が「砂漠化」に関しての実状を纏めた「2001年中国環境状況報告」によると、中国全土ですでに砂漠化した国土は、およそ246万平方キロ(ちなみに日本の総面積は37万7000平方キロ強だから、日本のおよそ七倍が砂漠だ!

この列に年々歳々、ほぼ富山県に相当する3000平方キロもの砂漠化が加わっている

このスピードで行けば十二年後、2016年にもうひとつ「日本の面積」分が砂漠になっている計算になる。

乱開発、乱伐、農地の工業団地化、近年の干ばつが重なり、中国の砂漠化は国土の18・2%に達した。

日本のように灌漑水利が発達し、植林が行われていれば山々が保水力を保つが中国では乱開発、乱伐

山々に保水能力がなく、豪雨が繰り返されると、土石流が日常的に発生し、農地は荒れ地となり、急速に土地が砂漠と化すわけだ。

(まぁ、平たく言って、支那は北朝鮮の兄貴分ですよ。でかいから始末に困る)

あまつさえ日本の各都市は「黄色い被害」(黄砂のこと)に見舞われ、さらに深刻な状況になる。日本中がいずれ中国の乱開発によって煤(すす)けてしまう。

中国国土資源部の「2003年中国国土資源公報」によれば過去七年間で中国の耕地面積は一億ヘクタールもの減少を示した。

砂漠化防止対策として
(1)非農業建設の基本農地占用の不許可
(2)「退耕還林」の名目での基本農地面積減少の不許可
(3)基本農地を占用しての林業、果樹農業経営の不許可
(4)基本農地内に池などを造成しての魚の養殖、牧畜業経営の不許可
(5)基本農地を占用しての緑化の隔離帯造設の不許可
などだが、法律には馬耳東風の國ゆえに違法行為は昨年だけでも十七万件以上に及び、このうちの十二万七千件が提訴されたという。だれもが防止策を守らないのも中国的風土である。

一方、砂漠化を緩和できる植生新技術が中国のいくつかの大学で研究・開発されている。たとえば東華大学の?鎮慌教授は茎基質草皮を大量生産できる栽培技術を開発したうえ、内蒙古自治区・フルンベル大草原(「ホロンバイル」大草原とも書く)で実験を行い、一定の成功を収めたという。

これは稲藁と麦茎、アブラナ茎などを砕いて棒状とし、繊維を混入・成形して茎毛繊をつくる。育苗段階で隔離材料の上に茎毛繊と栽培基質を敷き詰め、そのうえに種子や茎、高分子保水剤(日本の室内スキー場の「雪」)を散布して一ヶ月程度、育成する。それで草状の絨毯を作って砂漠に敷き詰める遣り方。ただし内蒙古自治区フルンベル大草原の砂漠での実験における費用対効果は公表されていない

の煬帝を真似る中国共産党

しかしそんな程度の対策で間に合うわけはないだろう。足尾銅山の禿げ山を緑に戻す植林事業は半世紀を費やしたのだ

随の煬帝は中原から呉・越にかけて大運河を開墾し、水運による流通、農業の飛躍的進行を実現させ同時に水不足を解決した。現在の江蘇省から折江省にかけて水運業が著しい発展を遂げ、物流のメカニズムが完備し、河口流域の商業の発展は飛躍した。

中国共産党は随の煬帝を真似ることにした。

黄河の十七倍の水量を誇る長江の水を黄河へ運河を開削して引っ張れば良いではないか。そうすれば黄河付近へ工業用用水、飲料水、潅漑用水として用いられる)
 
この壮大な運河構想は孫文、毛沢東時代からあった。
 

▲巨大な工事は昔から大好き民族だが。。。。

世界一の三峡ダムをつくる国だから、考えるプロジェクトは破天荒に大きい。

長江から黄河への運河建設に正式な国家予算がついて国家プロジェクトと決まったのは2001年である。それも一度に三本の運河を掘るという。総予算660億ドル!
 
中部、東部など三つの「大」運河を、長江流域の上流、中流、下流域に構築。完成の暁には各地に起きた水利権の熾烈な闘争を収束させ、黄河などの水飢饉をなくし、工業地帯の水不足を解消させる。工事は実際に江蘇省から始まっている
 
プロジェクトは「南水北調」とよばれ、胡錦濤・国家主席から信頼が篤い孟学農(前北京市長)が現場責任者(閣僚級)に抜擢された。

しかし生態系を破壊し環境を汚染する乱開発だとして西側の評判は甚だしく悪い

「まるで向こう見ずな、計画性が乏しいばかりか、”フィージビリティ・スタディ(商業市場化可能性の事前調査)”も済ませていないプロジェクトだ」(『タイム』、01年12月24日号)
 

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