(NNA)2004年09月24日 香港
平均実労働週55時間、大半で手当なし
香港の雇用労働者の週当り平均実労働時間が、国連・国際労働機関(ILO)が上限とする週40時間を大幅に超え週55.2時間に上っていることが、23日までに分かった。
大半が超勤手当の付かない「サービス残業」で、ストレスのため体調不良を訴える労働者も全体の7割以上に。調査した香港大都市計画・環境管理研究センターは「生産資源をすり減らしている」と政府に具体的な対策を求めている。
同センターが進める企業環境管理研究の一環で今年5〜6月、金融、サービス、製造業など主要10業種の労働者を対象にアンケート。1,000人から回答を得た。
■金融9割サービス残業
業種別の実質労働時間では、金融が平均週59.6時間と最長で、ILO基準を約20時間オーバー。製造業も同59.5時間、建設・交通も同57.8時間、法律・会計士などサービス業も同57.2時間で軒並み大幅超過だった。平均は55.2時間。調査業種中、最短は公務員の同47.2時間だった。
また「超勤手当は付かない」と回答した業種も金融が最も多く92.6%。ほか建設・交通も同90.3%など、全体で79.6%が契約外の勤務時間になっても無償で奉仕する「サービス残業」を容認している実態が明らかになった。
■「上司が帰らない」=3割
長くなる理由としては、「仕事が多すぎる」が81.9%と圧倒的で、不況による人員減がサラリーマンを直撃している状況を反映。このほか◇同僚の手伝い(34.6%)◇上司より先に帰れない(29.4%)◇最初には帰りにくい(22.9%)――と周囲への気遣いが残業につながるとの回答も多く、個人主義的とされる香港の労働環境が変化しつつある一面も明らかにした。
(へぇ〜、意外だな。発展するとそうなるかw)
また最近の景気回復局面を反映した回答も。
「今後12カ月以内の転職を考えている」労働者は、全体の平均で28.2%。トップは不動産の35.6%、インフラ関連34.7%、金融34.1%と景気関連で高い転職志望率を示した。
■不眠症も3割
労働環境の悪化と相まって健康への影響も広がっている。
アンケートでは、仕事によるストレスを感じている人が76.1%、運動不足の人が74.9%を占めた。このほか◇極度の疲労、燃えつき感(45.4%)◇不眠症(27.6%)――と心身症寸前の深刻な不調を訴える声も相当数あった。
調査したリチャード・ウェルフォード研究担当は「政府は雇用環境と、健康や医療費など社会的コストの関係を考慮すべき。良い雇用環境は労働者の定着にもつながる」と提言している。
■日本は月残業12時間
香港で週55時間といった長時間労働が容認される背景には、労働時間に対する法整備の遅れがある。「雇用条例」では事業者は被雇用者に対し◇7日に1日の割合での休暇◇1回の休暇は連続24時間以上◇年12日の法定祝日――を規定。法定祝日などに出勤した場合の代休などを定めているが、週や月当たりの時間制限を定めておらず、個々の契約や就業規則に任せているのが現状だ。
日本では1999年の労働基準法改正で週48時間制から週40時間に規制。厚生労働省は毎月主要9業種について調査しており、03年の月平均は金融で148時間(週換算34.5時間)、最長の建設業も170.9時間(同39.6時間)となっている。
長引く不況による残業減らしもあり、全体の年間平均も1,954時間(2002年、厚労省調べ)と2,000時間を切った。
ただし、裁量労働制導入による実労働時間の不透明化や、タイムカード上は退勤したまま実際は居残る“サービス残業隠し”の慣習も一部業界では根強いといい、公表された数字から実態がつかみにくい、とする専門家もいる。
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