(1)(日経)

対北朝鮮政策で路線対立再燃の兆し、外務省に戸惑いも

日本人拉致問題の進展がない中、北朝鮮政策を巡って、路線対立再燃の兆しが出てきた。

町村信孝外相が就任早々、経済制裁の検討もちらつかせ「圧力」をかける姿勢を前面に出しているのに対し、首相官邸側は「対話」を重視し制裁論が高まることに慎重な構えを崩していない。官邸主導外交に歩調を合わせてきた外務省内には、外相発言に戸惑いの声も上がっている。

「経済制裁という選択肢を捨てるのは個人的にはどうかと思っている」。27日夜、就任したばかりの外相は幹部との初顔合わせとなった臨時省議で言い切った。

29日のNHK番組でも、日朝実務者協議が進展なく終わったことに「我々も伝家の宝刀を抜くかもしれないという、はっきりとした意思が伝わるようなアプローチをすべきだ」と述べ、北朝鮮が対応を改めなければ経済制裁も辞さない考えを強調した。 (07:02)


(2)(産経新聞)2004年10月01日(金)

対北経済制裁 町村外相「言及を」 官邸慎重、外務省は困惑

九月下旬に北京で行われた日朝実務者協議で、拉致された日本人の安否に直結する情報など目立った成果が得られなかったことから、政府内に北朝鮮への経済制裁を求める声があがっている。だが、首相官邸は慎重姿勢を崩しておらず、引き続き協議を継続する中で北に誠実な対応を求めていく方針だ。

小泉純一郎首相は三十日、北朝鮮による日本人拉致問題に関連、町村信孝外相が北朝鮮への経済制裁に言及していることについて「日朝平壌宣言を誠実に履行するという基本方針に変わりない」と述べ、制裁に慎重な姿勢を示した。

首相は外務省に交渉方法の見直しを指示しており、同省は交渉担当者の局長級への格上げや平壌での開催、計二十五万トンのうち残り十二万五千トンの食糧支援の見送りを検討中だ。

町村外相の発言は就任直後の二十九日、NHKの番組に出演した際のこと。外相は「北朝鮮が今のようなペースなら、タイムリミットを設けるなどの条件をつけ、『伝家の宝刀を抜くかもしれない』とはっきり(日本の)意思が伝わるような交渉をすべきだ」と明言し、安否不明の十人に関する再調査で前進がなければ、経済制裁も辞さないとの姿勢を鮮明にすべきだとの考えを示した。

川口順子前外相が首相官邸と歩調を合わせ、経済制裁に慎重な姿勢をとり続けたのとは対照的。

外務省はこれまでより踏み込んだ外相発言に「制裁を求める世論をみて、政治家として発言したのではないか」と困惑気味だ。しかし、与党側は「実際に経済制裁を発動するかどうかは別にして、北が誠意を見せない以上、交渉カードとして言及するのは当たり前」(自民党幹部)と同調する声も少なくない。

拉致問題をめぐっては、官房副長官時代から一貫して強い姿勢を示してきた自民党の安倍晋三前幹事長が同代理に「降格」。拉致被害者家族の信頼が厚かった中山恭子内閣官房参与が辞任するなど、対北政策の変更を懸念する向きもある。


(3)(TBS)

外務省斎木審議官、米公使に転出

拉致被害者や 家族からの信頼が厚く、北朝鮮との 実務者協議を 担当してきた 外務省の斎木審議官の アメリカ公使転出が内定したことが、JNNの取材で わかりました。

斎木審議官はおととし10月、 拉致被害者が 日本に帰国して以来、一貫して 拉致問題に関する 北朝鮮との交渉の キーパーソンでした。
 
先月も日朝実務者協議で北朝鮮のソン・イルホ副局長と 協議したばかりですが、JNNの取材によりますと、外務省は 斎木氏のアメリカ公使への 転出を内定したと いうことです。
 
斎木氏は 拉致被害者や家族会からの 信頼が厚く、中山恭子 前内閣官房参与に続く交代は、北朝鮮政策の変更との 印象も与えかねず、家族会などからの 反発も予想されます。(1日 15:29 )


(西村幸祐 酔夢ing voice)

■2004/10/01 (金) 北朝鮮外交のシナリオはどう動く?

今日のチャンネル桜の「報道ワイド日本、ザ・クリティーク」でも言及したが、町村外務大臣と外務官僚の路線対立が表面化して来た。

日経(1)は対北朝鮮政策で路線対立再燃の兆し、外務省に戸惑いもという記事で「官邸主導外交に歩調を合わせてきた外務省内には、外相発言に戸惑いの声も上がっている」と報じている。産経(2)も対北経済制裁 町村外相「言及を」 官邸慎重、外務省は困惑と報じている。

こんな反応が出てくること自体、外務官僚が官邸の対北朝鮮融和政策に慣れ切っている事と、経済制裁を行う意思が全く無い事を証明したようなものだ。

せっかくまともな外務大臣が就任したのに、こんな反応が報じられるのは、敢えて事を構えない、直近の問題を先送りにする腐りきった外務省の体質が浮き彫りにされたという事だ。

つまり、簡単に言えば、外務省は拉致被害者の救出に限りなく消極的で、北朝鮮との国交正常化にしか関心が無い。そして、それを助長するのが小泉首相と官邸の動きである。

考えてみれば、これは2年前の9.17時点の小泉政権と外務省のスタンスをそのまま継承したものに過ぎない。

さらに悪いニュースも飛び込んできた。斉木審議官が北朝鮮問題から離れるという噂は、先週から関係者の間を駆け巡っていた。このTBSの報道(3)が正しければ、外務省は斎木氏のアメリカ公使への転出を内定したという事になる。

中山参与辞任からの一連の流れから、最良のシナリオを考えてもこうしかならない。

中山参与、斉木審議官という拉致被害者家族、救う会、国民の信頼の厚い拉致問題の最重要人物を外すのは、拉致問題が最悪の結末になる事を官邸と外務省が想定し、制裁から安保理上程へ突き進む覚悟ができたというシナリオだ。

ただ、官邸の動きを見るとこの可能性は低い。資源問題でも北朝鮮制裁でも、経産省は機能するが、外務省は日本の足を引っ張る事しかしていない

この最良のシナリオ以外はどんな場合でも最悪のケースになる。

そうさせないためには、現在の民主党以外の機能が政権転換をするしかない。

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