(2004/11/02 産経新聞)
産経抄
■イラクの武装勢力に拘束された若者の命運は無残な悲劇で幕を下ろしたが、この際きちんと区別しておかなければならないことがある。
テレビで話す街頭の声のなかには、非道残虐な犯人とイラク国民とをごっちゃにしている人が少なくなかった。
▼米国人や韓国人など人質の首を切断した武装勢力の多くは、イラク人ではなくイラクに流入する外国人(ヨルダン人とか?)テロリストである。
そのことはきちんと弁別しておきたい。彼らの真のヒらいは「自衛隊撤退」にはなく、混乱を作って自己の存在を政治的に主張することにある。
▼今度の事件で政府がそうした武装勢力と交渉できなかったことで、「一人の国民の命も救えなかった」と、したり顔で非難する人がいる。
しかし国籍も不明な【群盗なみの犯人】とどうやって取引しようというのか。机上の空論というほかない。
▼また報道やコラムに若者の横死を悼むあまり、彼の善意?を美化するような論調も目立つ。
しかしいま必要なのは「厳冬の山に夏の軽装で出かけた」(フリーカメラマン宮嶋茂樹氏)に等しい日本人の国際的無知と非常識に対する反省と戒めでなければならない。
▼そうでなければ若者の死は尊い教訓として生きてこないだろう。その点でいえば、九州・直方市の彼の両親が同市を通じて社会に向けて発したメッセージは、極めて思慮に富むもので、だから強く人の胸を打ったのである。
▼若者を支えた多くの人びとに心労をかけたことをわびて感謝の気持ちをのべ、さらにイラクに一日も早く平和が訪れることを祈っていた。
この春の日本人人質事件の(三馬鹿・ニバカwの)家族の反応とは、天と地ほどの差がある。
若者に両親に似た分別と常識があれば、悲劇は起こらなかったろうにと惜しまれてならないのである。
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