(産経新聞 2004/11/05)

産経抄

■洋の東西を問わず“敗者の美学”というのがある。米大統領選でも「グッド・ルーザー(良き敗者)」の伝統があるといい、ケリー氏は名誉ある撤退を図ったのが潔くていい。「この運動を祈りとともに終わらせたい」と語った敗北宣言に味わいがあった。

▼ブッシュ氏は選挙人の獲得はむろん、総得票数でもケリー氏に三百五十万票の差をつけた。終わってみれば完勝(w)である。テロ声明のウサマ・ビンラーディンと、映画『華氏911』のマイケル・ムーア監督は“塩”を送った形で、ブッシュ陣営は両人に感謝すべきだろう。

▼ブッシュ勝利に内心ほっとし、腹の底でほくそ笑んだのは、パリ・山口昌子記者が伝えるように実は仏独ではないか。確かに仏国民の気分はブッシュ嫌い(w)、ヨーロッパの世論もケリー勝利を望んでいた。

イラク戦争に対してケリー氏の主張は猫の目のように変わったが、しかし彼は反戦候補だったわけではない。ケリー大統領が実現すれば、国際協調の名の下、イラクの治安・復興の穴埋めに当然派兵を要求する。そのときどうするつもりだったのか、困ったはずである。

▼米国の大マスコミはおおむねケリー氏を支援した。日本の多くの新聞やテレビ(とくにNHK、たとえば十月二十八日の『クローズアップ現代』(ほぉ!?w))も、全米が反ブッシュで固まっているかのように伝えた。

これらマスコミに頼っていると、いかに情勢を見誤るかの見本である。(一員のご自分も仰っちゃいましたですネw)

▼日本のテレビのキャスターは多くが嫌米反ブッシュだった。たぶんそれが(おフランスなみのw)流行の文化ファッションなのだろう。四日のワイドショーなどを見ていたら、キャスターたちはなぜかバツが悪そうにしていた。ケリー氏が敗れたことがいかにも無念であるという顔つきなのだった。


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