大統領選始末。

2004年11月5日
(西村幸祐 酔夢ing voice)

■2004/11/05 米大統領選選挙報道に見る日本メディアの恐ろしさ。

11月2日に米大統領選挙が行われ予想通り(!)ブッシュ大統領が再選された。

日本の報道を見てつくづく感じたのは見事なまでのお粗末さだった。

米3大ネットやCNNの情報を翻訳するだけで、それらのメディアが偏向していたために何も事実を伝えられなかった。日本メディアは自分で判断する事ができないのか?

フロリダをブッシュが制した時点でかなりブッシュが有利になったのに、そんな判断も下せない。オハイオの暫定票が14万〜20万と言われていた時点で、14万票ブッシュがリードしていたのだからその時点で当選確実と言えたはずだ。

記者の非力さは目を覆うばかりで、驚いたのは昨日のニュースでも、大接戦を制したとか、僅かの差でブッシュが再選されたというニュース原稿をキャスターが読んでいた事だ。

と同時にジャーナリストと呼ばれる人たちの見識と知識の無さにも恐怖を感じた。筑紫哲也は論外だが、誰もまともな選挙戦分析もできなかった。

すでに10月25日の時点で米国では保守系のコラムニスト、カル・トーマスは誰が当選しようと今度の選挙が大メディアの影響が語られる最後の機会になると書いていた。

投票の2日前には大学教授でラジオコメンテーターのヒュー・ヒューイットが自分の番組の座談会でケリーが負けた場合の最大の敗者は大メディアだという事で意見が一致したと書いていた。

実際、全てがこのような展開を見せて大きく変化するアメリカ社会をまともに分析できた日本人ジャーナリストは皆無だった。

ケリーの地滑り的勝利どころか、結果はブッシュの地滑り的勝利に終わった。

上下院で共和党が圧勝し、民主党の強い選挙区でも共和党が議席を取り民主党の有力議員も落選した


投票率が上がって(青年層は1割のみで)逆に白人主婦層がブッシュに投じた理由は、イラクよりホモ・レズ結婚や中絶に嫌悪感を感じる普通のアメリカ人が多かったから(サミュエル・ハンチントンの危惧が共感された)ではないのか?

それに加えて、余りにマイケル・ムーアに象徴される情報操作やCBSの捏造報道などでブッシュを貶める大メディアの手法も反感を買ったのではないかと推察できる。

だが、日本にとって手放しで喜んでいい結果ではない。2期目のブッシュ大統領がどんな閣僚を揃えて来るのか注意が必要だ。

★ブッシュ氏はケリー氏より日本にとってベターだという事に過ぎないからだ。

ブッシュ大統領の再選を8月に確信して書かれた日高義樹氏の「日本人が知らないアメリカひとり勝ち戦略」によれば、ブッシュが本当に日本の改憲を許すのか疑問が残る。

話を選挙に戻すと、国連最大のスキャンダル「オイル・フォー・フォード」(oil for food オイル・フォー・フード=石油食料交換計画)が今後明るみに出れば、フセインと国連がぐるになってフランス、ロシアに莫大な賄賂を与えていた事が証明されるし、フランスが米国のイラク戦争に反対した理由も明らかになる(!)

国連改革は否応無しに進むだろうし、冷戦後の世界体制も本格的に再編されて行く。もしかしたらブッシュは愚直さで(ロナルド・レーガンと並び称され)歴史に残る偉大な大統領になる可能性もある。

ただ、前述したように日本は手放しで喜べない。短期的には北朝鮮問題は日本の望む方向に進むだろうが、本当に米国が日本の独立を望むのかどうか見極めて日本の対米戦略を組み立てなければならない。

★クリントン民主党政権のようにアジアを支那に任せるのか、それとも日本なのかという重要なテーマを、米国に日本は自らの意思で突き付けて行かなければならない

そうしなければ、ブッシュ共和党がクリントンのような政策を取る可能性がゼロとは言えないからだ。

ブッシュが再選を果たした今、最も重要なテーマはそうなるのに、日本メディアは相変わらずSF小説のような幻想世界に引き篭もっている。

朝日は論外だが、日経の昨日の社説の酷さはどうしようもない。まともな事を書く可能性があるから苦言を呈するが、支那に目が奪われると対米関係の分析も不可能になるのか?

この社説が書いている60年代の世界をブッシュは今壊そうとしているのだ。80年代のレーガン時代を思い出してもいい



(略)



『日本人が知らないアメリカひとり勝ち戦略:
日米安保は終焉する』 日高義樹著(PHP研究所)

【解説】ブッシュ政権の登場により、戦後から冷戦期にかけて確立していた国際秩序は完全に変わりつつある。

国連の威信は、イラクからの賄賂疑惑などの問題ですでに地に堕ちている。

イラク、北朝鮮をはじめ、冷戦期に米ソのパワーバランスの狭間で生まれた独裁国家の数々は次々とその命脈を絶たれつつある。

「冷戦」から「新しい戦争」への変換に対応するために、米軍はその戦略と組織形態を大きく変えようとしており、極東戦略や日米安全保障条約もその意味を大きく変えようとしている。そして、経済についても、これまでとは全く違う発想でアメリカの覇権の確立を目論んでいる。しかしそのような状況を、多くの日本人はまったくつかんでいない……。

レビュアー:ブッシュ第二期政権の世界戦略分析, 2004/10/17 神奈川県 Japan

本書は、11月の大統領選でブッシュが再選することを前提として、ブッシュ第二期政権の世界戦略について分析している。

この時期にブッシュ再選を前提とする本を出版するのは大胆な気もするが、日高義樹氏は、近著『日本人が知りたくないアメリカの本音』『アメリカ軍が日本からいなくなる』でもブッシュ勝利を予測しており、本書のブッシュ勝利の理由も十分説得力がある。

マスコミではイラク開戦の是非ばかり報道されているが、大統領の資質はそれだけで決まる訳ではない。本書では、冷戦終了後十数年の世界情勢の流れから、ブッシュが再選されることが歴史の必然としている。

日高氏の文章は誇張感がなく、中立の立場で世界情勢を冷静に分析している。

特に興味深いのは第7章と第8章。

★第7章「国連はイラクの賄賂で崩壊した」では、マスコミではほとんど報道されていないが、国連のアナン事務総長らのイラクでの大規模な汚職事件を指摘している。

★第8章「日米安保は終焉する」では、日米安保という名の日本占領政策に対して警鐘を鳴らしつつ、日本の平和憲法の改正や軍事力の増強(すなわち真の独立)をブッシュ政権は望んでおらず、それを実現する場合にはアメリカとの対立が避けられないと指摘している。

日本の将来について非常に考えさせられる内容であり、第8章だけでも本書を読む価値はある。

なお、帯には「石原慎太郎氏激賞!」と書かれている。



ふむ、買ってきてもらお。

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