(殿下さま沸騰の日々)
■2004/11/15 (月) 遺骨鑑定という言葉の残酷さにご夫妻の心情を思う。
日朝実務者協議が終わった。わたしは、大いなる怒りと確固たる決意を持って今日の拙文を記す。
北朝鮮は、何ひとつ拉致事件の解決につながる情報を提供しなかった。小泉再訪朝に際して、金正日が約束した拉致事件の再調査がこういう結果に終わったことは、北朝鮮の意図を十分に示している。『八名死亡。二名不知(未入国)』。その主張を維持するために、今回の協議を利用しただけだ。コンテナ七個分の『物証』というが、その信憑性の象徴である横田めぐみさんの遺骨といわれる証拠品を含め、北朝鮮が提供した物証を見れば、協議が北朝鮮の従来の説明を形式的に裏付けるための舞台であったと言わざるを得ない。つまり、シナリオ通りの演技を披露する舞台である。
横田めぐみさんに関する安否情報の出鱈目ぶりを見よ。二年前には93年3月に死亡したと主張していた北朝鮮は、前回協議でそれを撤回。93年8月に入院し死亡したと訂正していた。ところが、北朝鮮は今回の協議で唐突にこれを再撤回し、めぐみさんは94年3月に入院し4月に死亡したと言う始末である。
この背景には、蓮池薫さんが外務省に行なった『94年3月まではめぐみさんが平壌市内で生活していた』という証言がある。しかも、遺骨は二度も焼かれDNA鑑定も難しいと聞く。結局、蓮池証言と裏を合わせるための出鱈目であることは想像に難くない。それだけではない。
横田めぐみさんの元夫であるとされるキム・チョルジュンなる人物は、血液の採取はおろか毛髪の提供を拒んだ上、写真撮影も拒絶したという。
DNA鑑定でめぐみさんとの血縁関係が科学的に明らかになっているヘギョンさんと、このキム・チョルジュンなる人物のDNA比較鑑定ができない以上、この男がめぐみさんの夫であったかどうかを、絶対に証明することができない。
北朝鮮は、科学的に検証や鑑定が不可能な、言い換えれば北朝鮮の従前の主張を裏付けるのに都合がいい大量の物証を提供した。
わたしが危惧するのは、これが北朝鮮の『あるメッセージ』ではないかということだ。すなわち『これで証拠は全部出した』という『幕引き』のメッセージではないかと。
だが、『八名死亡。二名不知』が北朝鮮の作った虚構であるならば、幕引きが許されていいはずがない。
われらみな、等しく親を子をきょうだいを持つ身であればこそ、遺骨鑑定という言葉の残酷さに耐え、なお毅然として対決を訴える横田ご夫妻を見てなにごとかを誓うだろう。それが人としての道であるとわたしは思う。
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