AEIの北朝鮮研究専門家でニコラス エバースタット (Nicholas Eberstadt)が、次の論文を発表しています。

「ブッシュの北朝鮮政策はかくあれ」

今の米国の対北朝鮮政策は欠陥だらけだ、しかもこれでは危険極まりない。

ブッシュは大統領を四年間やってきたが、北朝鮮の体制をどうするのか、その戦略が見えてこない。

今やっているのは小手先の対応だけである。

ブッシュ政権は金正日を軽蔑や不信感や嫌悪感で見ているが、そうならそうで、それに基づいて、具体的にどうするのかという対応策が必要ではないか。

単に好きだ嫌いだと言っているのではなく、その見方を具体的に戦略化する必要がある。

「悪の枢軸」といくら口で言っていても埒はあかない。

ブッシュの北朝鮮政策は、5つのモードに分析可能である。

(1)発生する事態にその都度当惑する "shocked by events" mode

(2)そしてその都度それに反応する "reactive" mode

(3)もう一つ腰が引けてる "passive-aggressive" mode

(4)内部の意見がバラバラで政府としては麻痺状態とでもいうべき"paralyzed by infighting" mode.を見せ付けられてきた。そしてまだこれからも、

(5)重大な問題を矮小化してしまう "making bigger problems into smaller ones" mode.

見たくもないモードをこれからも見せられつけるのか。

ブッシュ政権は第二期に入って、次の二つの戦略的規範を持って事に当たるべきである。

★規範(1) 

北朝鮮の核問題を対話によって解決するのは無理である。

援助をやるから核兵器を持たないでくれという”talk and bribe” 方式の交渉は、口では妥結しても、陰に隠れて核計画を進め来た相手であるから、約束や妥結はナンセンスである。

この”talk and bribe”方式でやってきた過去15年間の努力とは一体なんだったのか。まさにぶざまな失敗以外の何物でもないではないか。 

核放棄の約束の対価として援助するというやり方は1990年代だったらまだ有効だったかもしれない。その時期、北朝鮮は食糧不足で体制維持の可能性には大きな疑問があったからだ。

その時期のクリントンの非核化戦略とやらは、結局はゼニだけ取られて金正日の核武装の野心の肥やしになっただけである。

だから”talk and bribe”政策は北朝鮮のようなゴロツキには裏切られるのみであるということをとくと認識しておかねばならない

★規範(2) 

北朝鮮核危機は北朝鮮政府そのものであり、北朝鮮政府そのものが核危機なのである。

同じ独裁者といってもせめてもっとましな独裁者が北朝鮮国家を運営することになるならいざ知らず、金正日体制の下では、北朝鮮核危機の問題は改善どころか悪化の一途をたどるであろう。

頬かむりして、この現実を避けて他の鵺(ヌエ)的な対応に現(うつつ)を抜かすなら、事態はさらに悪化するであろう。

この教訓規範をシッカリと胸に叩き込めば、アメリカの北朝鮮政策などというものは簡単に立案できるのだ。


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