中国大陸の毒ガス弾について。だれが遺棄したのか?
昨日のニュースでどうしても注意を喚起しておきたいことがある。
中国大陸にある毒ガスのことである。
昨日、東京地裁は、この毒ガス弾が旧日本軍の遺棄したものであるとの前提で、日本政府に一億九千萬円の支払命令をだした(原告請求は、二億円)。
この判決においては、事実認定の他、日本民法の不法行為責任追及が二十年の経過でできなくなる除斥期間を如何にクリアーしたかの問題や日中友好条約による請求権放棄があるのに何故いまさら賠償かという法理論の問題がある。
しかしここでは、法の理論の問題ではなく、『事実認定』だけに焦点を当てて重大な疑問を提起しておく必要がある。
つまり、果たして「中国大陸にある毒ガス弾は、旧日本軍が放棄・遺棄したものかどうか」である。
昭和二十年八月十五日の天皇陛下の玉音放送のとき、中国大陸には、百万の完全武装の無傷の支那派遣軍がいた。満州には五十万人の関東軍がいた。
(行動地域=管轄地域の分担。万里の長城の海側外れ「山海関」より東を担当した「関」東軍)
そして、★支那派遣軍は蒋介石政府に対して降伏し武装解除せよという大本営命令により、整然と降伏し武装解除して、その装備を蒋介石国民党政府に提出したのである。
★関東軍は、ソビエト軍に降伏し武装解除した。但し、一部には共産党軍に降伏し武装解除した部隊もある。
さて、当時の満州を含む中国大陸は如何なる状態であったのか。
ソビエト軍、蒋介石国民党軍と毛沢東共産党軍やアメリカ軍さらに日本軍がいた。
そして、日本降伏とともに、国民党軍と共産党軍・ソビエト軍が雌雄を決する内乱再発の舞台が用意されたのである。
したがって、日本の百万の支那派遣軍と五十万の関東軍の装備(銃砲・弾薬・毒ガス弾等)を国民党か共産党かいずれが手にするかは、中国側にとって重大な関心事であり、そのために武装解除と装備引渡しは、極めて短時間に行われた。
つまり、日本軍降伏時には、中国大陸と満州には国民党軍、共産党軍、ソビエト軍、アメリカ軍、日本軍の毒ガス弾が存在したが、日本軍の毒ガス弾は国民党軍と共産党軍とソビエト軍に引き渡された(没収・接収)のだ。
このうち、日本軍のものはもちろん日本製であるが、国民党軍や共産党軍のものはアメリカ製やソビエト製やドイツ製やイギリス製のものがあったと思われる。
大戦時の、アメリカやソビエトやイギリスの、国民党・共産党への支援、その前の、ドイツと国民党の関係を考えれば当然であろう。
旧日本軍ほど装備や武器を正確に把握する軍隊はない。
中国やイギリスの軍隊が散布した地雷による戦後の事故は発生しても、日本軍が散布した地雷による事故は聞いたことがないはずだ。
日本軍は、地雷散布記録により全て回収したからである。
私の事務所の佐々木秘書は、防衛研究所において、台湾派遣軍と海軍の作成した詳細な武器引渡しリストを入手したが、そこには当然に、毒ガス弾を何発引き渡したと記載されていた。
他の日本軍も部隊ごとに詳細な武器引渡しリストを作成して整然と引き渡したと考えるのが合理的である。
では何故、他の多くの引渡しリストが日本にないのか。
その理由は、大陸に駐屯する陸軍においては、降伏・武装解除とともに中国側やソビエトの捕虜となり、部隊の所持する文書とともに、中国側・ソビエト側の管理下に入れられたからである。
したがって、これらの武器引渡し文書は、今も中国大陸内やシベリアに保管されていると考えられる。
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