Column of the History

115.「瀋陽事件」で苦しんだ北京
── 巨大帝国「中国」のお家事情 (2003.2.21)

(略)

さて、話を戻しますが、事件が起きたのは瀋陽であり、武警(武装警察)は瀋陽軍管区に所属していると書きました。

そして、元来、北京と瀋陽との間には、常に対立・軋轢があり、瀋陽(と言うよりも、満州)は北京に対して一種独特の怨念を抱いているのです。その理由はこうです。

「満州国」時代を通じ、日本の巨大資本によって開発された満州は、戦後、「中国」によって支配される事となった訳ですが、北京の共産党政府は、「中国」一開発された先進地である満州の各種企業を国有化し、大慶油田等は純収益の90%が政府に上納され、売上高の60%も税金として北京に巻き上げられており、いくら収益を上げても、北京に吸い取られると言うシステムが確立しているのです。

しかも、東三省は嘗て「満州国」だった地域である為、現在も比較的、日本文化に対する憧憬が強く、親日家も多いと言われています。

しかし、それが逆に災いし、現在の満州は北京からある種の差別を強いられており、その事が、満州に於ける反北京感情と言うものを醸成しているのです。

又、満州を管轄する瀋陽軍管区も、実力(核兵器さえ保有している)(これは北朝鮮国境近くの通化基地=日本向けw)を持っていながら北京に隷属させられている事を内心快く思ってはいません。

何か事あらば、中央の統制を離脱して独立も辞さず、と言うスタンスである訳です。

その様な現状で、北京が「瀋陽事件」に関わった武警 ── 瀋陽軍管区に所属する武警を、軍管区指導部を差し置いて処分し、日本に対して謝罪や再発防止を表明したりしたら・・・それこそ、軍管区指導部の面目は丸潰れです。

しかも、元来、反北京感情の強い満州の事、瀋陽軍管区が態度を硬化させ、北京に対して一体どの様な対抗措置に出るか分かったものではありません。

■少数民族と軍の離反によって、「中国」は分裂する!!
予想される分裂後の「中国」

瀋陽事件」で何故、支那は最後迄自国の主張を通したのか? その理由は、唯一つ。

自らが隷属下に置いている満州の軍・人民感情を逆撫でし、北京の統制に反旗を翻す事を恐れたからに他なりません。

いや、反旗どころか、場合によっては、独立し「満州国」を再興する可能性も無きにしも非ずです。

何故なら、満州には石油・鉄鉱石を始めとする天然資源が産出し、それらを加工する重工業地帯があります。核兵器さえ保有し自給自足・独立採算制を取る軍隊 ── 嘗ての「軍閥」にも通ずる瀋陽軍管区もあります。

もしも、満州が本気で独立したら・・・前述の大慶油田の例を引く迄も無く、北京に搾取されていた莫大なマネーを自らの為に使える訳で、通化基地に配備されている核ミサイルの照準を日本から外し、日本との関係を強化すれば、嘗ての「満州国」時代同様、多くの日本資本が「新天地」満州に大挙して押し寄せる事は目に見えています。

加えて、満州は今尚、支那随一の重工業地帯です。この地を失う事は、北京にとって正に「命取り」になる程のダメージを与えます。

そう考えると「瀋陽事件」で、たかだか外務省関係者が処分され、外務省の綱紀粛正・機構改革が叫ばれた程度の日本は、大局的な観点に立てば、大したダメージを蒙ってはいません。

むしろ、国際法違反・人権問題等で国際社会から突き上げられた挙げ句、対応如何では、満州独立(瀋陽軍管区の反旗)=国家分裂の危惧さえあった支那の方が、より大きなダメージを蒙った共言えるのです。

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