(産経新聞)

◆中国反戦ドラマ、やはり「抗日」? 検閲1年半、大幅に修正

五日から国営中国中央テレビのゴールデンタイム枠で始まった日中戦争を題材にした連続ドラマ「記憶的証明(記憶の証明)」(二十九話、楊陽監督)が、物議を醸している。

日本人俳優も出演し、「抗日」の枠を超えた反戦ドラマを目指したとの制作意図が語られる一方、「日本の犯罪を後世に伝える」と中国メディアでは宣伝されているためだ。靖国、政府開発援助(ODA)と日中関係の雲行きが怪しい今、果たしてこのドラマの意図はどこにあるのか。(北京 福島香織)

              ■□■

「訴えたいのは憎しみではなく愛と寛容。世界中で紛争が絶えない今、戦争ドラマを作りたかった。これまでの抗日ドラマとは全く違います」と、楊監督は熱っぽく語った。ドラマでは北京在住の俳優、矢野浩二さん(31)はじめ約二十人の日本人俳優が起用され、日本ロケも敢行した。

ドラマの設定は、終戦近い横浜近郊の軍需工場建設現場で強制労働させられていた中国人捕虜の暴動と鎮圧という封印された過去を当事者の孫の日中男女が調べていくというもので、恋愛ストーリーを絡めている。

こういう存在って?w

矢野さん演じる総監役は、悪役ながら捕虜のリーダーに奇妙な友情を感じ、上官から受けた捕虜皆殺し命令と自らの信義との間で苦悩するなど、これまでの抗日ドラマのステレオタイプである悪役の日本人と違うという。

典型的悪役の日本兵も登場するが、楊監督は「その残虐性は戦争によってもたらされたというふうに演出した」と強調した。

ところが、その楊監督が先月二十四日に行われた中国メディア向け会見で、歴史教科書問題などを例にあげて「軍国主義残党や右翼が歴史の改竄(かいざん)をしている。歴史を正視せねばならない」とのコメント文を配布。中国メディアも「日本の中国侵略戦争の歴史をじっくり見よう」(羊城晩報)、「(日本の)犯罪行為を被害者に代わって訴える」(北京週報・電子版)などと愛国的歴史教育ドラマとして宣伝した。

このニュース配信された

さらに北京週報などは、矢野さんが「このドラマをNHKで放送し、日本の若者に見せるべきだ。日本の若者はあまり歴史を知らないからだ」と発言したと報道

矢野さんは発言の事実はないと否定しているが、こうした報道によって「日本で中国人捕虜の大暴動が鎮圧され、皆殺しにされた」という架空のドラマ設定が史実と誤認され、反日感情が増幅される懸念も出てきた。

あれぇ??w
当時、彼のHPには相当非難殺到だったようだが、恐れをなしたか?w


矢野さんによると、制作サイドは抗日的筋書きながら、抗日という枠を超えて戦争の狂気を描き、二〇〇〇年カンヌ国際映画祭グランプリを受賞した『鬼が来た!』(姜文監督、二〇〇〇年)を意識していたようだ。

『鬼が来た!』は最初から世界市場を狙って制作され、中国当局の検閲を受けておらず、(支那)国内での上映は禁止されている

一方、「記憶的証明」は完成後一年半におよぶ検閲を受け、相当部分が削除、修正された。

当局筋によると、「日本人のセリフが吹き替えになり、ニュアンスが変わった。中国ラジオ映画テレビ総局だけでなく外務省の検閲もあったのは異例」といい、外交上の影響も分析された上での修正だったようだ。

日本向けと中国向けに説明される制作意図が変わるのは、厳しいメディア統制下の中国でやむを得ない部分もある。

監督は心血注いだ作品に日の目をみせるため、当局に迎合せざるをえない。ならば中国における「反ファシスト勝利六十周年」を来年に控えた今の時期、このドラマを放送しようという当局の真意はどこにあるのか。

ある日中関係筋は、「社会不満のはけ口として反日感情はまだ必要だが、反日を反ファシストに言い換えるなど、日本だけに向く矛先を拡散したい意向も見える」と指摘しており、そういう過渡期に合わせてドラマの抗日度が調整されているとの見方もある。

              ◇

【中国における抗日ドラマ・映画】日中戦争時代を舞台に、侵略者・日本軍を徹底的な悪玉、共産党・八路軍や農民ゲリラを完全な正義の味方として描く勧善懲悪ドラマ・映画。

戦中戦後から現在に至るまで無数に制作され、中国人民に愛国心と反日感情、中国共産党の正当性を教え込む役割を担った。

中国国歌・義勇軍行進曲は代表的な抗日映画「風雲児女」で使用されたテーマ曲

抗日ドラマ・映画中の日本兵は常に醜悪で残虐非道な「日本鬼子」として描かれてきた。

コメント

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

まだテーマがありません

最新のコメント

この日記について

日記内を検索