世界は腹黒いw

2004年12月6日

【書評】「世界は腹黒い」高山正之著

「国家性悪説」の冷厳な現実

大東亜戦争で、わが国が無条件降伏の意を表明した正にその時だったかどうかはっきりしないが、スターリンがこれで日露戦争の仇(あだ)を討ったと言ったと本で読んだ時、実に不思議な気がした。

社会主義とは国家を否定してかかるはずなのに何て言い方かと幻滅を感じた。

時は昭和二十六年で小生大学一年、本は林達夫著『共産主義的人間』である。

大東亜戦争末期のドサクサに紛れて火事場泥棒さながらに満州に侵入したソ連の行為をどう説明するか、友人の共産党員との議論に明け暮れしていた私は、この本を論拠の軸に置いてスターリン支持派と決定的に決別したのだった。

国家意思は政治体制の如何(いかん)にかかわらぬという冷厳な事実の自覚は、青白き学生の目から一枚鱗(うろこ)を剥(は)がしたのである。

本著を読みながら私の脳裏を去来したのはこのような若い頃の記憶だった。

「世界は腹黒い」とはコロンブスの卵的な、絶妙にして刺激的な題名である。

最近は、世界は善人だらけであるそう教わって大きくなった青年が平気でイラクに入ってしまった。

首を切られて殺された福岡出身の日本人青年はイラクのテロ組織ではなく、彼を育てあげた善人たちによって殺された、と見るのが正しいと本書は教える。

我々は生まれながらにして善人であるか悪人であるか古来揉めてきた。曰(いわ)く性善説、曰く性悪説がそれだが、本書の「世界」は「国家」と置換できる概念である。「国家は腹黒い!」と著者は国家性悪説を説くのだ。正論である。

戦後の日本は国家性善説を信奉する余り、世界中から物心共に毟(むし)り取られることを善と錯覚し、これを国是としてきた感がある。

だが、まだ間に合う、我々もこれからは腹黒国家を目指して頑張ろう。

北朝鮮は言うまでもない。韓国もいつの間にか核開発に乗り出していたし、中国は原潜を駆使してわが国の領海を侵犯して平気である。

世界中腹黒国家ばかり

(高木書房・一八九〇円)

 評論家 石堂淑朗


まぁ、タダほど高いものはない、でいいんでないすか?w

国家間には駆け引きあるのみ、「友好」なし、ってことで。

ふつうに、GIVE&TAKE ですよね。

on a give-and-take principle

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